ビタペックスとカルシペックスの違いって?押し出したらどうなる?

今日はビタペックスとカルシペックスの違いについでお話しようと思います。

根管貼薬には水酸化カルシウム製剤を使うことがほとんどですよね?
強アルカリ(pH12.5)によりタンパク質やDNAを変性させ、多くの細菌を死滅させる作用。

ビタペックスかカルシペックスを使うことが多いんじゃないでしょうか?
MTAは保険適応外で自費になっちゃいますしね。

ところで使い分けってどうしてます?

「とりあえず医院に置いてるものを使う」って感じですか?
成分的には大体同じなので「使えればなんでも良いや」って思ってますか?

「正直よくわからん」

ってのが本音じゃないでしょうか?

なので、今回はビタペックスとカルシペックスの違いについて解説したいと思います!

ビタペックス

水酸化カルシウム30%
シリコンオイル20%
ヨードホルム40%
その他10%。

シリコーンオイル入り。
粘性があって操作性が高いです。

油性のため根尖部の浸出液に対して溶解しにくく、安定性もありますね。
というわけで長期間の貼薬に有効です。

ヨードホルムは防腐性、造影性を期待して添加されています。
水酸化カルシウムと同じで殺菌作用も持っているわけですね。

水酸化カルシウムとヨードのダブルで細菌を叩きます。

カルシペックス

水酸化カルシウム24%
硫酸バリウム24%
精製水52%

カルシペックスは精製水が入っているため、水溶性でさらさらしています。
ビタペックスよりも軽い力で充填することができますね。

硫酸バリウムは造影性のためですね。
それ以上でもそれ以下でもない。

ちなみに硫酸バリウムが入っていないプレーンタイプのものもあります。
商品名はカルシペックスプレーン。
そのまんまですね。

硫酸バリウムが入っていない分、水酸化カルシウム濃度は48%と高濃度になってますね。
ただ造影性がないので、デンタルで貼薬具合を確認するのには向きません。

使い分け

カルシペックスは水溶性。

カルシウムイオン、水酸化物イオンの解離や拡散が早く、素早い抗菌効果を得られます。
なので短期間の貼薬向きですね。

毎週来れる患者さんとかでしょうか?

水溶性なのでエンドチップですぐ綺麗になるのも素敵。

一方、ビタペックスは油性。

粘性の水酸化カルシウムは根管内に長く留まり、長期間安定した状態を保ちます。
頻繁に薬剤の交換を行う必要ありません。

しばらく来れない患者さんにオススメ。

患者が多すぎて予約が取れない。
大学病院でアポが全然とれない。

などの場合でしょうか?

あとは乳歯の根管充填ですね。

乳歯といえばビタペックス。
ガッタパーチャ絶対ダメ。

そうそう、油性なのでエンドチップでは中々綺麗になりません。
Kファイルかブローチで除去しましょう。

使い方

ビタペックスの公式ページがわかりやすいです。


引用:http://www.neo-dental.com/prdfs/kt/vp/vpuse/vpbuse.htm

何はともあれきっちり拡大すること。
最低でも40号。

ビタペックスもカルシペックスも、チップの先の大きさが約0.5mm程度あります。
なので根管を40号まで拡大しないと根尖まできれいに充填されませんよ。

貼薬剤が入っていきません。

面倒臭がって30号とかで辞めちゃうと、貼薬が上手く行かず綺麗に治らないことが多いですね。

乳歯も永久歯も、40号程度まで拡大しましょう。

押し出しについて

押し出しはよくありません
販売会社も推奨していません。

Q6. ペーストを根尖孔外へ押し出しても大丈夫?
製剤そのものは根尖歯周組織に対して低刺激です。しかし、ペーストを根尖孔外(痩孔、穿孔を含む)へ溢出させた場合、溢出成分により、以下のような有害事象の発現が考えられることから、根管内に限局して使用してください。
1)抗原になり得る大量の細菌や壊死組織を含む切削屑(スミヤー)を一緒に押し出すことにより炎症をひき起こすことがある。
2)上顎歯の根尖孔から溢出させた場合、溢出成分が上顎洞に迷入して炎症などの有害事象が発現することがある。
3)下顎歯の根尖孔から溢出させた場合、下顎管に溢出成分が迷入し、下歯槽神経の損傷を起こすことがある。
4)痩孔から溢出させた場合、痩孔を通過して本材成分が歯肉表面に沈着することがある。
5)本材の注入圧により疼痛を生じることがある。

引用:http://www.nishika.co.jp/upfiles/11_pdf_9/CXII-QA.pdf

それに押し出したからって根尖病巣が治るとも限りません。
水酸化カルシウムの殺菌作用はオマケに近く、リーク防止や創部治癒のために貼薬していると考えるほうが良いでしょう。

エンドの基本は細菌の除去と感染経路の封鎖です。
貼薬だけで上手く治るなら誰も一生懸命ファイリングしたりマイクロで観察したりしませんしね。

特にビタペックスは注意。
シリコンオイルは油性なので、ほとんど吸収されません。

「ビタペックスは吸収されるから押し出ししても問題ない」

という先生がいますが、本当でしょうか?
造影性のあるヨードホルムが吸収されただけで、シリコンオイルは吸収されないんじゃないでしょうか?

ちょっと疑問に思いませんか?

シリコンオイルが吸収されていないとしたら、感染経路が残ってしまうことになりますね。
そうなると中々治らない症例になってしまうかもしれませんね。

根尖病巣が綺麗にならない場合「押し出しして殺菌しよう」とは考えず、外科処置を考慮しましょう。
意図的再植や歯根端切除でしょうか。
専門家への紹介も考えて良いかもしれませんね。

あと貼薬の充填量にも要注意です。
満タン貼薬してしまうと、仮封セメントの充填圧で押し出ししてしまうかもしれませんよ。
溢れた分はちゃんと綿球で拭うようにしましょう。

カルシペックスもビタペックスも、できるだけ押し出さないようにしたいですね。

月星先生の本はこのあたりかなり詳しく解説しておられます。
興味がある方は手にとって見てくださいね。

また違いについて教えてくれた保存科と小児歯科の先生にもこの場を借りて感謝したいと思います。

以上、貼薬剤の使い分けの話でした!

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