子供に麻酔するのって気を使いますよね。
なんてったって注射ですからね、注射。
子供の口の中に針を刺すわけです。
注射=痛い
なわけです。
「じゃあ注射するね〜」と言って上手にできる子はほんの一握りです。
「これから痛いことしますよ〜」と宣言しているようなものです。
大人だって嫌いな人は多いはず。
逆に言うと、痛くなければいいんですよね。
痛くない麻酔なら子供だって大丈夫です。
麻酔のコツはツイートした通り。
もうちょっと掘り下げて「どうやったら子供に痛くない麻酔をすることが出来るのか?」といった疑問に答えて行こうと思います。
痛くない麻酔をする8個の方法
表面麻酔を使う
どの教科書にも書いてますよね。
僕はビーゾカイン歯科用ゼリーかジンジカインゲルを使っています。
表面麻酔をする時間ですが、大体30秒〜1分ぐらいしておけば良いでしょう。
ビーゾカイン歯科用ゼリー20% 製剤
- 麻酔作用の発現時間、持続時間はどのくらいですか?
- 麻酔作用については約30秒~1分以内で発現し、持続時間は5分程度と報告されております。
塗布麻酔の効果を得るには、最低でも30秒を必要とし、60秒間塗布すると十分である
出典
小児の口腔科学 第4版 p225
とはいえやはり個人差もあります。
僕の場合ですが、暴れたり嫌がったりしない子の場合は2〜3分ぐらい表面麻酔をしていることが多いですね。
待っている間に今日の治療内容をお話したり、雑談したりして子供と仲良くなってます。
じっとできない子の場合でも、最低30秒は表面麻酔したいですね。
針は出来るだけ細い物
針は細いほうが痛くないです。
僕の経験上、表面麻酔がしっかり聞いていれば30Gで大丈夫です。
とはいえ、できるだけ痛くない方がやっぱりいいですよね。
僕はデンツプライの33Gのかなり細い針を使っています。
麻酔が子供の視界に入らないような角度で刺入
注射器が目に入ると子供は怖がります。
一度注射器を見てしまったが最後、もう二度と口を開けてくれない子もいるでしょう。
というわけで子供の視界に入らないような角度で麻酔を打ちます。
僕は針を曲げて顎の場所から見えないように麻酔してます。
ロールワッテ等を刺入部付近に置く
表年麻酔ばっちり!麻酔注射も出来た!
嬉しいですね〜。
でも急に泣き出しちゃった・・・
という時は薬液をこぼしている可能性が高いです。
麻酔の液ってめちゃくちゃ苦いんですよね。
なので、麻酔中に液体が漏れ出てこないようにロールワッテ等を刺入部位近くに置いておきましょう。
僕は表面麻酔の時にロールワッテを使い、それを口から出さないまま麻酔をしています。
ロールワッテ取り出した時に表面麻酔を舐めて苦い味がしても嫌ですしね。
カートリッジを温めておく
麻酔液は体温に近い温度のほうが痛くないです。
カートリッジウォーマーという機械を買うだけで勝手にやってくれます。
温める機械が無くても、室温なら大体OKだと思います。
くれぐれも冷蔵庫から出してすぐのカートリッジは使わないで下さいね。
冷たい麻酔、すごーく痛いので。
1秒1滴ぐらいのペースでゆっくり注入
刺入後は粘膜下に針を進め、混戦相当部に薬液を注入しますが、その際には
「そっとやさしく(Gently)」
「ゆっくりと(Slowly)」
「強圧を加えず(Light Pressure)」
行うことが望まれます(GSL法)
出典
子供の歯科臨床UPDATE p81
麻酔って意外と時間かかるんですよね。
せっかちな先生がものすごい勢いで注入していく様子を見たことありませんか?
早く麻酔をしてしまうと、液体が入っていく時痛いんですよね。
僕もやられた経験あるのでよく分かります。
なので、GSL法で麻酔することが大切なんですよね。
具体的には「1秒1滴」ぐらいのペースで注入すれば良いんじゃないでしょうか?
結構時間かかります。
でも待ちます。子供に痛みを感じさせてはダメです。
といっても、最後までこの速さでやる必要はありません。
それに時間かかったら子供もじっとしてられなくなるかもしれませんしね。
最初の1/4カートリッジぐらいは1秒1滴で注入すれば麻酔が効き始めるので、残りは1秒3〜5滴ぐらいの速さに上げていいと思いますよ。
電動麻酔を使う
面倒くさい注入速度を調整してくれるのが電動麻酔ですね。
特に難しいことを考えなくても”いい感じの麻酔”を勝手にやってくれます。
音楽を鳴らして気を紛らわせてくれるものもありますしね。
僕はアネジェクトⅡとオーラスターを使っています。
オマケですが
といった効果もありますよ〜。
一度注射器を見て嫌になっちゃった子には、電動麻酔器を使って全く違う見た目で挑戦してみてください。
麻酔中は声掛け
声かけは大切です。
「今から虫さん捕まえるよ!」
「お薬半分終わった〜」
「あと5秒数えたら、ぶくぶくうがいしてね」
などなど。
「今どこまで進んでいるのか」「あとどれぐらいで終わるのか」を伝えて行きましょう。
麻酔ができれば小児の治療は半分終わったようなもの
小児の歯科治療では、麻酔が一番大変です。
麻酔さえ出来てしまえば、痛みは消えてなくなります。
後はラバーしてサクッと治療するだけ。
麻酔が出来れば治療が半分終わったようなもんです。
この記事を読んで、小児歯科の苦手意識がちょっとでも減ってくれたら嬉しく思います。
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